日本精神病理学会

Japanese Society of Psychopathology


新着情報

日本精神病理学会 第44回大会のお知らせ

 精神病理学とは、自然科学の一領域としてデータを検証しながら発展する現代の精神医学を補う形で、心を病む人の体験をていねいに描写し、その背後にある病理のあり方を明らかにしようと試みる学問です。いわば、形なきものを輪郭づける学問であるわけですから、ややもすれば難解になったり曖昧になったりしがちです。精神病理学による考察において導かれた結論が妥当であるかどうかは、対象としている患者を思い浮かべて、その結論が“腑に落ちる”かどうかで量られるものではないでしょうか。私たちは自分の体を持っており、臨床場面ではやはり体をもった患者と向かい合い、そこでつねに何かを感じ取っています。あらゆる精神現象は、身体の下支えがあって成り立っているはずです。精神病理学は、今一度「身体」に目を向けてもよいのではないでしょうか。

 日本精神病理学会第44回大会は、テーマを「生きた精神医学を求めて~“こころ”と“からだ”再考」として、「身体」を一つの軸に据えたいと考えています。特別講演として、多くの著作で独自の身体論を展開されている下掛宝生流ワキ方能楽師の安田登先生をお招きします。また、教育講演では、メルロ=ポンティを援用しながらわが国で現象学的看護学という分野を切り開かれた西村ユミ先生にご登壇いただきます。大会副会長の村井俊哉先生も、精神病理学という学問領域についての教育講演を行います。

 シンポジウム1では、精神疾患における身体、治療における身体、性的身体など、臨床場面におけるさまざまな身体について、演者に自由に語っていただきます。シンポジウム2では、精神病理学の永遠の謎である「妄想」について、最新の知見を基に議論します。また、特別ワークショップとして、パリ第8大学のPierre Johan Laffitte先生をお招きし、現象学的精神病理学の第一人者である木村敏先生の思想がフランスでどのように評価され展開されているかをディスカッションする予定です。

 第44回大会は、京都の会場とWeb開催のハイブリッド形式で行う予定です。開催時期の新型コロナの流行状況が予測できないこともありますが、Web開催を行うことで、遠方の方々にも当学会が身近に感じていただけることを期待しています。

 世界が大変な時期だからこそ、多くの方にご参加いただき、精神と身体についていっしょに考える機会にしたいと考えています。多くの方々のご参加を心よりお待ちしています。

日本精神病理学会 第44回大会

大会長 野間俊一


【会 期】 2021年10月22日(金)・23日(土)/ 夜話会(症例検討)10月21日(木)

【会 場】 京都大学医学部 芝蘭会館・芝蘭会館別館

【大会長】 野間俊一(のまこころクリニック)

【副大会長】村井俊哉(京都大学) 深尾憲二朗(帝塚山学院大学)

【事務局長】上床輝久(京都大学)

【大会テーマ】「生きた精神医学を求めて~“こころ”と“からだ”再考」

特別講演:安田登(能楽師)

教育講演:西村ユミ(東京都立大学)

     村井俊哉(京都大学)

シンポジウム1「精神医学における身体」

シンポジウム2「妄想の定義を問い直す」

特別ワークショップ「木村敏の思想のフランスでの受容と展開」